秋うさぎ〜月までバスで〜2
窓に顔を近づけて後ろを振り返ると
地球がまだすぐそばに見える。
いまさっき飛び立ったばかりなのに
地球の町の灯りを見ると
なぜか懐かしく感じてしまう。
毎日のことなのに、ふしぎな気持ちになる
読みかけの文庫本はなかなか進まない。
前を見ると視界が月面に埋め尽くされるほど
月に近づいている
村(ヴィレッジ)も見える。
ボクはここで生まれて育った。
なのに月の景色をみてもちっとも
懐かしい気持ちにならないのはなぜだろう
ガコンッ プシュッ ヒュイィィィィィィ・・・ン
大エンジンから小エンジンに切り替わった。
月の停留所までもうすぐだ。
バスは落ちるように進む。
ボクは文庫本を鞄に入れて
もう一度振り返って地球を見た。
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